4月19日にマレーシア不動産協会(MIEA)のLim Boon Ping会長は、オンラインで開催されたアジア不動産フォーラムで、マレーシアの不動産市場は、コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、売り手市場から買い手市場へ移行するだろうという見解を明らかにした。マレーシアの不動産価格は、およそ10~20%下落する可能性があると指摘している。
ただ、Lim会長は、「マレーシア政府によってコロナウィルスの感染拡大を防ぐ目的で移動制限が実施されているため、物件の内見、引っ越し、売買契約書へのサインが行えないにも関わらず、複数の不動産の売買が成立しており、買い手が不動産を内見せずに購入しているケースでは、仲介業者が不動産の売買取引を成立させている。」とコロナ禍にある住宅市場の動きを説明した。
さらに、Lim会長は、マレーシアの不動産業者は、コロナウィルスのような感染症の拡大とそれに伴う移動制限を経験したことから、最先端の技術を活用し、不動産の買い手や売り手へ提供するサービスを強化すべきだと付け加えた。
国際通貨基金(IMF)が2021年においてもマレーシア国内総生産(GDP)成長率は、アジア5ヶ国の中で最も良いとする予測を発表したことについてLim会長は、この点について異なる見解を持つ声が多いと述べた上で、「これは、2020年のアジア諸国の経済成長は、悪影響を受けるというメッセージだが、将来的には経済活動は好転するだろう」との見込みを示している。
一方、インドネシア不動産業者協会(IAREA)のJaya Cahyadi副会長は、「コロナウィルスの感染が拡大する中、または感染拡大が収束した後に人々の投資先が変わると考えている。したがって、不動産業者は、自らのネットワークを広げ、新規の不動産投資家を見つけなければならない。」としている。
さらに、Jaya副会長は、「消毒液やマスクなどの医療品の製造に携わる人々は、資本を増やす可能性が高く、不動産業者は顧客網を広げる際にこうした事業のオーナーに目を向けるべきだ。コロナウィルス収束後は、コロナウィルスによって恩恵を受けた業界に携わる、適切な人々にコンタクトを取るべきで、今こそ、ふさわしい不動産投資家や買い手を見つける時だ。」とコロナウィルス収束後の動きを見据えている。
シンガポールの不動産業者協会(IEA)のHerman Yeo会長は、マレーシアの住宅市場にシンガポールの買い手が流入するかどうかとの質問に対し、「十分な魅力をもつ高級不動産であれば、彼らは依然としてマレーシアの不動産を購入するだろう。」と予想している。
一方、Jaya副会長は、「インドネシアの投資家については、マレーシアやシンガポールの投資家とは対照的に、自国通貨であるルピアの下落と国内での投資機会の多さから、インドネシア国内への投資を継続する可能性が高い。」と述べた。