プノンペンにおけるコンドミニアムに対する需要は低くなっていますが、多くの住宅開発が進行しているために供給過多の状況となっています。
不動産大手のCBREのカンボジア支社では、首都プノンペンに立地するコンドミニアムの数は、昨年比で120%増となると見込んでいます。先週末、CBREカンボジアのディレクターであるAnn Sothidaとプノンペンにおけるコンドミニアム住宅の市況と今後、この市場を成功させるためのヒントについて話し合いました。
2008年初頭から、プノンペンでのコンドミニアム開発事業は大幅に急増しました。これは、De Castleという住宅開発プロジェクトに多くの韓国人が投資を開始し時期と重なります。しかし、2008年半ばに起きた世界的な金融危機によって、プノンペンの住宅市場は崩壊しました。その後、2009〜2010年まではカンボジアのコンドミニアム部門への新規投資はまったく無く、住宅の建設自体も非常に静かなものだったと思います。
2011年末には、2つか3つの新しい住宅開発プロジェクトが発表され、カンボジアのコンドミニアム市場が再び動き始めました。また、金融危機が起こった後に建設が中断されていた案件では、建設が再開されるようになりました。
コンドミニアム市場が回復し始めたのはいつでしょうか?投資家がこの市場に戻ってきた理由は何だったのでしょうか?
コンドミニアム市場が回復し始めたのは、2013年頃だと思います。プノンペンの中心部に建設されたThe Bridgeという高級コンドミニアムが発表された時期ですね。The Bridgeには、736戸の区分所有タイプの住宅が建設されましたが、想定よりも大きな成功を収めたようです。
The Bridgeの成功により、多くの新規投資家が徐々に首都のコンドミニアムに投資するようになりました。当時ですと、特にボンケンコンとトレンバサックで多くの住宅開発プロジェクトが発表されました。
2015年以降は、中国や地元の投資家がこの分野を牽引する存在となり、現在ではプノンペンに数百戸のマンションを所有する投資家もいるようです。
あなたの報告によると、今年はコンドミニアムが供給過剰になるそうですが、その原因は何でしょうか?
2019年には、コンドミニアムの供給数が増える主たる原因は2つあります。まず、スター・シティ、タイムセンター、スカイツリー、スター・ポラリス23などの大型プロジェクが今年中に竣工することで、多くの住宅が市場に供給されることになります。
2019年に竣工が予定されているプロジェクト数は、43個に達し、合計で16,939戸のコンドミニアムが市場に供給される見込みです。20個のプロジェクトが竣工し、5,000個以上のコンドミニアムが新たに販売されていた2018年時と比較すると、2019年に供給される住宅のは過多であると言わざるを得ません。
2019年末時点の予想によると、高価格帯のコンドミニアムは全体のうち23%、中価格帯は43%、比較的手頃な価格帯は34%のシェアを締めています。
次の5年間でコンドミニアム市場はどのように変化すると思いますか?
手頃な価格帯のコンドミニアムの供給が限られていること、またカンボジア人の生活様式が変化してることもあり。低所得者向けのコンドミニアムのマーケットをさらに発展させていくべきだと思います。恐らく、低価格帯の物件は、中・高価格帯のものよりも販売しやすいでしょう。より快適で安全性が高く、交通渋滞に巻き込まれることなく通勤・通学できる都市部にあるコンドミニアムの購入に対する興味は強く保たれると考えています。
このセクターを成功させるにはどうしたら良いと思いますか?
コンドミニアムのデベロッパーたちは、現地に住み、働くより多くのカンボジア人をターゲットにした住宅を建設するべきでしょう。地元住民がコンドミニアムの購入を検討する際に重要な要素となるのは、駐車場、ロケーション、価格帯です。敷地内に十分な駐車スペースを確保できているコンドミニアムは、成功する傾向にあるとみています。
最近では、駐車スペースの不足が問題となっています。私は、少なくともそのコンドミニアムの住民の70〜80%に対して駐車スペースが割り当てられるべきだと考えています。そういった意味では、駐車場に投資するのも良いのかもしれませんね。